こんにちは、宮比ひとしです。
本日は道尾秀介の『鬼の跫音』を「短編ホラーのおすすめ小説」として紹介します。
短編ホラーのおすすめ小説
みなさん、鬼といえば何を思い浮かべますか?
宮比の場合は……はい。ミュージックスタート!
ドスーン ベタン ドッタンコ
ドスーン ベタン ドッタンコ
鬼滅の刃 鬼ちひろ
鬼に いろいろあるけれど この世で一番!
ミステリ作家の 道尾さまは
ペッペッペーとは 書かないで
根性 根性 ド根性
泣いて 笑って ケンカして
『にくいよーッ! このオ 道尾秀介!!』
さて、そんな「短編ホラーのおすすめ小説」をご紹介します。
本日のよりみちブックはこちら。
『鬼の跫音(あしおと)』
作者…道尾 秀介
ジャンル…ホラー、ミステリ、短編
ボリューム
難易度
『鬼の跫音』登場人物
S
それぞれ独立した物語だが、全編にわたって様々なかたちで登場する人物
『鬼の跫音』あらすじ
『鬼の跫音』は、全6編からなる短編集です。
『鈴虫』『犭(ケモノ)』『よいぎつね』『箱詰めの文字』『冬の鬼』『悪意の顔』それぞれのあらすじを解説します。
『鈴虫』
11年前に埋めた親友Sの死体が発見されたことで、私は刑事から取り調べを受けていた。
その最中、刑事の肩口に小さな鈴虫が見え、当時の記憶がよみがえる。
私と親友S、杏子は大学時代の友人同士だった。
11年前、杏子に恋心を抱いていたものの、彼女はSと付き合っていた。
私はSと同じアパートに住んでおり、さらに隣接する部屋であった。
薄い壁のせいで二人が交わる声が聞こえ、痛みと情欲を感じながら聞き耳を立てて過ごしていた。
ある日、別の女性の声が聞こえたことからSの浮気に気づいた私は、胸の中で彼に対する怒りが増幅していき……
『犭(ケモノ)』
ある日、家族関係に悩んでいた僕は椅子から奇妙な文章を発見する。
「父は屍 母は大 わが妹よ 後悔はない」
調べてみると、その椅子は刑務所で作られたものであり、ある死刑囚が彫ったものだと判明する。
家族を惨殺した猟奇事件の殺人犯Sが残した文字。
事件の真相を解くことに僕は運命を感じ、玄関のドアを開いた……
『よいぎつね』
逃げるように街を出て行ってから20年。
久しぶりに地元に戻ってきた雑誌記者の私は、W稲荷神社の境内で行われる伝統芸能「よい狐」の取材を命じられていた。
神社へと続く商店街で、視線を感じ、足を止める。
女が私を見ていた。その表情は、あの人にとてもよく似ていた。
神輿蔵の床に押しつけ、その身体の中に私が狂気を放ったあの人に。
学生時代、度胸試しと称して仲間と悪事をはたらいていた。
ある日、同級生Sから発せられたのは、女性一人凌辱することだった……
『箱詰めの文字』
アパートの呼び鈴が鳴り、小説家の僕は原稿を広げたまま玄関に向かった。
青年は深々と頭を下げ、陶器でできた招き猫の貯金箱を盗んだことを謝罪する。
それは僕にとって身に覚えのない物であった。
中には四つ折りになったメモ紙が1枚。
そこには『残念だ』とあった。
高校時代の同級生Sが脳裏に浮かび……
『冬の鬼』
元旦から8日までの日記を振り返る形式で話が進んでいく。
左義長で達磨を火に投げ込みながら、愛する男性Sとの幸せな生活を願う私。
しかし、私とした約束をSが守ることで、鬼の跫音に怯えることとなる……
『悪意の顔』
小学生の僕が教室の席に座ると、太ももに引きつるような痛みがあった。
その座席には瞬間接着剤がつけられていたのだ。
同級生Sに対して同情したことが理由なのか分からぬまま、嫌がらせや暴力を受ける日々が続いた。
そんなとき、僕はある女の人と出会った。
「私に、助けてほしい?」
そう聞かれ、僕はうなづくと、彼女はキャンバスを取り出し……
『鬼の跫音』作者
道尾 秀介(みちお しゅうすけ)
1975年5月19日-
兵庫県芦屋市出身
小説家、歌手
玉川大学農学部卒業後、住宅機器の企業に就職する。
1999年に『どうして犬は』で「小説現代」のショートショートコンテストに入選し、掲載。
2004年、『背の眼』でホラーサスペンス大賞特別賞を受賞し、小説家デビューとなる。
エッセイや音楽活動などジャンルを超えた多彩な作品を手がけている。
また、ペンネームである道尾は都筑道夫に由来する。
代表作…『向日葵の咲かない夏』『カラスの親指』『月と蟹』
『鬼の跫音』まとめ
著者は道尾秀介さん。
『向日葵の咲かない夏』や『カラスの親指』が有名ですよね。
今回の『鬼の跫音』のジャンルはホラーで、6編からなる短編小説。
表紙がすでに怖いですが、中身はもっとすごい。
どれも身の毛がよだつ怖ろしい話ばかり。
「あたい、ホラー苦手なの。パスパス!」って方、ちょいとお待ち下さい。
罰系脳って言葉をご存知ですか?
扁桃体と呼ばれる脳の中枢を核として、恐怖に関係する神経ネットワークのことでして、怖い思いをすると脳内のセロトニン分泌を促し、爽快感に満たされます。
お化け屋敷で怖い思いをした後、出てからスッキリした経験ありますよね。
この作品を読み終えた後、あなたにそんなリフレッシュ気分を味わせてくれるかもしれませんよ。
短編ならではのスピーディーな展開で、息つく間もなく読めてしまいます。
各話ごとの繋がりはほとんどなく、『世にも奇妙な物語』のようなオムニバス形式が好みの方にぴったりではないでしょうか。
さらに、ミステリ要素もふんだんに含まれ、アッと驚く結末や、行き過ぎた愛情が狂気に変わるゾッとするような展開に度肝を抜かれます。
六編とも面白い作品ばかりですが、その中でもおすすめは『犭(ケモノ)』と『冬の鬼』の二作品。
道尾秀介さんは多才な方ですので、様々なジャンルの作品がありますが、宮比個人としては本作のようなホラーミステリこそ彼の本領が発揮されてると感じます。
以上、「短編ホラーのおすすめ小説」として、道尾秀介の『鬼の跫音』を紹介しました。
興味が湧きましたら、ぜひ手に取って読んでみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
それでは、素敵なよりみちライフを。