こんにちは、宮比ひとしです。
本日は筒井康隆おすすめ『旅のラゴス』をご紹介します。
はじめに
日々のしがらみから解き放たれて、気ままに生きたい。
あるいは今まで訪れたことのない新たな土地を巡り、そこの住民や文化に触れてみたい。
そんな風に思うことありませんか?
宮比はさすらいの旅に憧れる一人です。
けれど、長期間いまの生活を離れることは、現実的にもハードル高いですよね。
学校や会社、家庭の事情があったり、金銭的にそんな余裕なかったり。
「今日からさすらいの旅に出るんだ。しばらく会えないけども俺の心配はしないでくれ」
なんて、家族や恋人に言おうものなら、「さすらいの旅に出る前に病院で診てもらったほうがいいんじゃない?」と勧められるのがオチ。
現実的に難しいけど、やっぱり未知の大地をさすらいたい。
さて、そんなあなたに、さすらいの旅に憧れるときに読む小説のあらすじや登場人物、作者について分かりやすくご紹介します。
本日のよりみちブックはこちら。
『旅のラゴス』基本情報
作者…筒井康隆
ジャンル…SF、ファンタジー、アドベンチャー
ボリューム
難易度
『旅のラゴス』登場人物
ラゴス
ある目的のため世界を南から北へと旅する男
『旅のラゴス』あらすじ
機械や電気といった高度な文明が栄えていたものの、それは突然に失われる。
文明は衰え、科学的な発明の扱い方や直す術もわからず過去の遺産となっていった。
しかし、人類がかわりに獲得したのは超能力。
そんな世界を北から南へと旅をする青年ラゴス。
行く先々の土地で、集団転移や壁抜けといった超能力を目の当たりにし、ときに奴隷の身に落とされながらも旅を続けていく。
生涯をかけてラゴスが旅をする目的はいったいなんなのか……
『旅のラゴス』作者について
筒井 康隆(つつい やすたか)
1934年9月24日-
大阪府大阪市出身
小説家、劇作家、俳優
1959年、「SFマガジン」に影響を受け、同人誌「NULL」を創刊。
それが江戸川乱歩の目に留まり、短編『お助け』が江戸川乱歩主催の「宝玉」に転載され、実質的なデビューとなる。
小松左京、星新一と並んで「SF御三家」と称される。
代表作…『時をかける少女』『夢の木坂分岐点』『わたしのグランパ』
『旅のラゴス』まとめ
『時をかける少女』などSF作家である筒井康隆さんの作品ですが、個人的にはファンタジー小説に近いのではないかと思っています。
スカシウマやミドリウシなど想像力を掻き立てる動物が出てきたり、中でも高度文明と引き換えに獲得した超能力の存在、この位置づけが非常に面白いです。
ラゴスは旅をしながら、その土地で超能力を体験します。
物語には転移、同化、壁抜けなど数多くの超能力が登場するのですが、どれも万能というわけではなく少し扱いづらい面があります。
例えば、転移というのはテレポートのようなものですが、一瞬であちらこちらに移動するシーンはありません。
集団の方が成功しやすいからと皆で行き先のイメージを統一し、時間をかけ、ようやく転移できるのです。
こういった超能力ごとの制約によって、リアリティのある世界観が生まれています。
科学が発達しなかったら、もしかしたらこんな世界になってたかも…と考えてしまう絶妙なラインです。
また、もう一つの魅力は時の流れが丁寧に描かれていることです。
以前に三島由紀夫の『夏子の冒険』をご紹介したことがあります。
同じ冒険ものでも、『夏子の冒険』は恋愛をメインにして、家族を巻き込んでの賑やかな展開でした。
それとは対照的に『旅のラゴス』は孤独な一人旅。
行先を転々とし、その土地の住民との交流や文化に触れるといった内容で趣が異なります。
青年から老齢になるまでの長い期間、旅をひたすら続けます。
ラゴスの一人称が「おれ」から「わたし」に変わり、心境が徐々に変化していくことで、時の流れを実感できます。
今回は、さすらいの旅に憧れるあなたへ『旅のラゴス』をおすすめしました。
現実的には、このように何十年と旅に出ることは難しいかと思いますが、この小説を読むことできっと長年の旅してきたかのような実感ができると思います。
また、「今まで旅に出たことがない。いちど一人旅に出てみたい!」という方にとっても、背中を押す一冊になるのではないでしょうか。
今日もお読みいただきありがとうございました。
本日は、さすらいの旅に憧れるときに読む小説として筒井康隆のおすすめ『旅のラゴス』をご紹介しました。
最後までお読みいただきありがとうございました。
それでは、素敵なよりみちライフを。