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東野圭吾『さまよう刃』性暴力被害を理解したいときに読む小説

東野圭吾『さまよう刃』性暴力被害を理解したいときに読む小説
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こんにちは、宮比ひとしです。

本日は、東野圭吾『さまよう刃』性暴力被害を理解したいときに読む小説として紹介します。

 

性暴力被害を理解したいときに読む小説

性暴力被害を理解したいときに読む小説

 

ニュースをみていると、性暴力による被害がたびたび報道されますね。

警視庁及び総務省の統計によると、年間で人口10万人あたり1.5人が強姦の被害にあっています。

ただ、性暴力にあっても被害を届け出る女性は、およそ2割というデータもあるので、5倍とすると7.5人ほどでしょうか。

1年で人口10万あたり7.5人が被害にあっています。

これを多いととるか少ないととるか人それぞれですが、身近にいてもおかしくない数字ですよね。

 

中には、それにより命まで奪われるケースもあります。

他人でさえ胸が痛むのに、最愛の子どもが性暴力により失われたとしたらどうでしょう。

さらに加害者が未成年のため、法律では罪を裁くことができなかったとしたら。

性暴力により子の命を奪われた親は何を思い、これからどう生きるのでしょうか。

 

さて、性暴力被害を理解したいときに読む小説をおすすめします。

本日のよりみちブックはこちら。

 

『さまよう刃』

 

作者…東野 圭吾

 

ジャンル…ヒューマン、家族愛

 

ボリューム 

 

難易度 

 

復讐度 

 

問題提起度 

 

悲哀度 

 

『さまよう刃』登場人物

『さまよう刃』登場人物

 

長峰 重樹(ながみね しげき)

5年前に妻を亡くし、男手一つで娘を育てるサラリーマン

長峰 絵摩(ながみね えま)

高校1年生の長峰重樹の娘

菅野 快児(すがの かいじ)

女性を強姦し、恐喝を繰り返すグループの主犯格の少年

伴崎 敦也(ともざき あつや)

快児とともに女性の強姦を楽しむ少年

中井 誠(なかい まこと)

快児と敦也に強要され、車を貸す少年

 

『さまよう刃』あらすじ

『さまよう刃』あらすじ

 

この物語は過激な内容を含みます。

性暴力について抵抗がある方は、納得の上で続きをお読みください。

 

主人公の長峰重樹は、娘が十歳になる頃に妻を亡くし、それ以来男手一つで育ててきた。

そんな娘の絵摩は平凡な少女たちと変わることなく、健全に明るい高校生へと成長する。

 

その日は花火大会だった。

絵摩は友人と出かけるものの、花火が終わっても彼女は戻ってこない。

長峰は躊躇いつつも携帯に電話をするが通じなかった。

 

一方、未成年の少年である菅野快児伴崎敦也中井誠の三人により車に連れ込まれた彼女は、クロロホルムを嗅がされ気を失っていた。

 

長峰は絵摩の友達に連絡をとるが電車の中で別れたという。

結局、行方は分からず警察に通報する。

 

数日後、絵摩の死体が荒川の下流部から発見された。

死亡状況から、警察はクスリの扱いになれていない少年の犯行であること、また犯行時の車の目撃情報から犯行者を特定していく。

その中、長峰の元に絵摩を殺害した犯人が誰であるか匿名で電話がある。

 

疑りながらも、長峰は怪電話の教えるアパートに向かった。

鍵のありかは電話で聞いており、長峰は少年が留守の間に侵入する。

 

部屋にあったビデオテープの奇妙なタイトルのラベルに目が止まった。

「8月 花火 浴衣」

なにがあっても目をそらしてはならない、そう思いつつ、ビデオテープを再生する。

 

映っていたのはクスリを打たれ精気を失っている全裸の絵摩、そんな彼女を楽しげに笑いながら犯す少年。

長峰は未成年である彼らに法律では裁けないことを悟り、自ら復讐することを決意する……

 

『さまよう刃』作者

『さまよう刃』作者

 

東野 圭吾(ひがしの けいご)

 

1958年2月4日-

大阪市生まれ

小説家

 

1981年に現デンソーに入社し、技術者として勤務する傍らで推理小説を書く。

1985年に『放課後』で江戸川乱歩賞を受賞しデビューするも、長年話題作には恵まれず。

1996年の『名探偵の掟』をきっかけに注目を集め、以降はヒット作が続く。その多くが受賞、ドラマや映画化されている。

 

代表作…『容疑者Xの献身』『秘密』『白夜行』

 

『さまよう刃』考察

『さまよう刃』考察

 

本作品は、最愛の一人娘を殺された男の復讐劇と、未成年による犯罪及びその裁きについてがテーマとなっています。

正義とはなにか。誰が犯人を裁くのか。
読み進めるごとにのしかかる重く哀しい展開、そして男の苦悩があなたの心を揺さぶるでしょう。

あなたにとって最愛の人が、このようなかたちで無残に殺められたらどうしますか?

相手が未成年だったらどう考えますか?

法律では裁けないからと、自ら復讐しようとする長峰は悪なのか。
それとも肯定してもいいのか。

娘のビデオテープを再生するシーンはとても生々しく、哀しみや怒りといった感情、吐き気をもよおすような嫌悪感がともなうでしょう。

それらを読み進めるにしたがい、しだいに長峰の気持ちと同調するでしょう。

そのとき、本当の意味で被害者の気持ちを理解し、少年犯罪と向き合うことができる物語ではないでしょうか。

 

 

本日は、性暴力被害を理解したいときに読む小説として、東野圭吾『さまよう刃』を紹介しました。

興味が湧きましたら、ぜひ手に取って読んでみてください。

 

長峰の一人娘・絵摩の死体が荒川から発見された。花火大会の帰りに、未成年の少年グループによって蹂躪された末の遺棄だった。謎の密告電話によって犯人を知った長峰は、突き動かされるように娘の復讐に乗り出した。犯人の一人を殺害し、さらに逃走する父親を、警察とマスコミが追う。正義とは何か。誰が犯人を裁くのか。世論を巻き込み、事件は予想外の結末を迎える―。重く哀しいテーマに挑んだ、心を揺さぶる傑作長編。

 

東野圭吾のベストセラー小説を寺尾聰主演で映画化。娘を少年たちに殺された長峰重樹は、密告電話で犯人を知って復讐に乗り出す。一方、刑事の織部と真野は、少年犯罪への司法制度に疑問を抱きつつも長峰を追うが…。“<東映 ザ・定番>シリーズ”。

 

2014年、韓国版『さまよう刃』。遺族による復讐と少年犯罪の現実を描いた、ミステリー小説の巨匠・東野圭吾による150万部突破の大ベストセラーであり、最大の問題作である同名小説が、戦慄のクライム・サスペンスとして映画化。正義とは何か?遺族に救済はあるのか?観る者の心を激しく突き動かす魂の復讐劇が誕生した!

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

それでは、素敵なよりみちライフを。