こんにちは、宮比ひとしです。
本日は、村上春樹の短編『パン屋再襲撃』を空腹で眠れない時に読むおすすめ小説として紹介します。
登場人物、あらすじ、作者の経歴や代表作についてまとめました。
空腹で眠れない時に読むおすすめ小説
夜な夜な腹が減って、どうにもこうにも眠れない。
冷蔵庫開けてみるも、すっからかん。
今から買い物行くのも、なんだか億劫。
そんな経験ないですか?
宮比はありますよ。
深夜を回って「さあ寝ようかなー」って時にお腹が無性に空いてくるんですよね。
ほんと、タイミングを見計らったかのように空腹はやってきやがる。
ひとまず我慢して、修行僧のように「眠るぞ、眠るぞ、眠るぞ」と自己暗示をかけつつ、瞼を閉じ続けるも、結局は耐えきれず。
食べ物なんて何もないと分かってるのに、冷蔵庫を開けてたり閉めたり、開けたり閉めたり、念じてから開けてみても、やっぱりない。
引き出しや棚の奧をあさってみても、ないものはない。
コンビニにダッシュするか思い悩むも、その気力がない。
しだいに満腹度が低下してきて、気づくと0%。
「ハラペコで目が回ってきた…」
「だめだ! もう倒れそうだ! はやく…なにか食べないと飢え死にしてしまう!」
って具合に、脳内では警告文が発せられる始末。
歩いてすらいないのにHPがガンガン削られるっていうね。
シレンもびっくりですよ。
生命の危機。絶望的な空腹感。
あなたもこんな経験ありますよね?
そうでしょう、そうでしょう。
そんなあなたにズバリ!
呪われちゃってます。
過去に何かしら、やらかしちゃった挙句に呪われちゃってますよ、きっと。
しかし、諦めないでください。
解決する方法が見つかるかもしれません。
さて、そんなあなたに空腹で眠れない時に読むおすすめ小説をご紹介します。
本日のよりみちブックはこちら。
『パン屋再襲撃』
作者…村上 春樹
ジャンル…エンタメ
ボリューム
難易度
満腹度
襲撃度
マクドナル度
『パン屋再襲撃』登場人物
僕
法律事務所に勤める主人公
妻
デザインスクールで事務仕事をする二歳年下の主人公の妻
相棒
十年前に主人公である僕とパン屋を襲撃した相棒
パン屋の主人
共産党員でクラシック音楽好きのパン屋の主人
『パン屋再襲撃』あらすじ
僕と妻は六時に軽い夕食をとり、九時半にはベッドにもぐりこんでいたのだが、夜中の二時前にどうしてか二人は同時に目を覚ましてしまった。
すると、理不尽といっていいほどの圧倒的な空腹感が二人に襲いかかってきた。
冷蔵庫の中には食物と呼べるものは何ひとつない。
そこにあるには、フレンチ・ドレッシングと缶ビール、ひからびた玉葱、バター、脱臭剤。
二人は缶ビールを飲むことにするが、残念ながら空腹には何の痕跡も残さなかった。
かつてこれと同じ経験をしたことがあると思い、「パン屋襲撃のときだ」と僕は口に出していた。
興味を示す妻に、十年ほど前の出来事を説明することとなる。
僕と当時の相棒はひどく貧乏で食べ物に不足していた。
そのため、実にいろんなひどいこともした。
パン屋襲撃はそのひとつだった。
結局、襲撃は成功したとも言えるし、成功しなかったとも言える。
パン屋の主人はちょうど店でワグナーの序曲集をかけており、もしそのレコードを最後まで聞きとおしてくれるならパンを好きなだけ持って行っていいと申し出た。
僕と相棒は包丁とナイフをボストン・バッグにしまいこみ、序曲を聞く。
そして、パンを受けとった。
お腹いっぱいにパンを食べることができた。
けれども、パン屋の主人がなぜそのようなことをしたのか理解できないまま、生活に暗い影を落とすようになり、二人はコンビを解消した。
あのとき、襲ってパンを手に入れなかった呪いのようなものであると振り返る僕に、妻は断言する。
「自分の手でその呪いを解消しない限り死ぬまであなたを苦しめつづけるわ。もう一度パン屋を襲うのよ。それ以外にこの呪いをとく方法はないわ」
かくして、妻と僕は中古カローラで、午前二時半の東京の街へ繰り出した……
『パン屋再襲撃』作者
村上 春樹(むらかみ はるき)
1949年1月12日-
日本、京都出身
小説家、文学翻訳家
早稲田大学在学中にジャズ喫茶「ピーター・キャット」を開く。
その後、経営しながら執筆した『風の歌を聴け』で群像新人文学賞を受賞しデビュー。
日本国外でも人気者で、現代アメリカでも大きな影響力をもつ作家の一人だと言われる。
翻訳も精力的に行い、スコット・フィッツジェラルド、レイモンド・カーヴァー、トルーマン・カポーティ、レイモンド・チャンドラーほか多数の作家の作品を訳している。
代表作…『風の歌を聴け』『ノルウェイの森』『1Q84』
『パン屋再襲撃』まとめ
深夜にお腹が減って、嘆き苦しむあなた。
あー、呪われてたわって確信したあなた。
これはもう読むっきゃないですね。
空腹の呪いを解く手がかりが見つかるかもしれないですよ。
まあ、見つからないかもしれないですがね。
見つからないときは決して宮比や小説に八つ当たりなんかしないで、スマイル0円の某ハンバーガーショップに出向き、ビッグなバーガー30個くらい平らげたらいいんじゃないですかね。
あと、この『パン屋再襲撃』は村上春樹さんのシュールな笑いのエッセンスがここぞとばかりに詰まってますよ。
あなたが『ノルウェイの森』や『1Q84』あたりの長編から読んでて、「いちいち、表現がキザったらしい」やら「性描写が生々しい」やら「ラストまで読んだけど、なにが言いたいの?」やらね、村上春樹に対して猛烈に悪いイメージで凝り固まっちゃってるなら、ぜひ手に取って読んでほしい一冊。
村上春樹さんの独特なシュールな世界観やメタファー表現は好みがわかれたり、ジャズやアルコールの固有名詞が頻繁に出てくるので分からないと置いてけぼり感ありますよね。
とくに長編はその傾向が強いです。
しかし、『パン屋再襲撃』は、村上春樹を毛嫌いする人が苦手とする部分が良い感じに解れています。
『パン屋再襲撃』は短編であり、シュールだけども、サクッと読めて、笑いどころも満載です。
きっと印象が変わりますよ。
また、『パン屋再襲撃』は海外でも人気があり、漫画化されている作品となりますので、そちらも紹介します。
村上春樹の『パン屋再襲撃』を漫画化した作品。
フランスのアーティストが村上春樹の代表的な短編9作をコミカライズ化するプロジェクトの第1弾として刊行。翻案はJcドゥヴニ(Jc Deveney)、漫画はPMGL(Pierre-Marie Grille-Liou)が担当し、28ページ全てカラーの豪華な一冊。
ちなみに、主人公が過去に相棒とパン屋を襲撃した出来事を回想するシーンがありますが、こちらも『パン屋を襲う』というタイトルで小説となっています。
こちらは『パン屋を襲う』を映画化した作品です。
本日は、空腹で眠れない時に読むおすすめ小説として『パン屋再襲撃』を紹介しました。
興味がありましたら、ぜひ手に取って読んでみることをおすすめします。
最後までお読みいただきありがとうございました。
それでは、素敵なよりみちライフを。