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カミュ『異邦人』あらすじ

カミュ『異邦人』あらすじ
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こんにちは、宮比ひとしです。

本日は、カミュ『異邦人』のあらすじについてご紹介します。

 

はじめに

 

テレビのニュースを観ていると、毎日のように数多くの犯罪事件が起きていますよね。

なかでも、恐ろしいのが殺人事件。

人の命は物と違い、かけがえのないものです。

被害者の苦痛や無念を思うと、胸が痛みますよね。

 

それと同時に、犯人がなぜ殺人を犯すに至ったのかについて経緯を考えることがありませんか?

もちろん殺人を起こすことはいけないことに違いありませんが、自己防衛や復讐のためと情状酌量の余地があるものが存在します。

同調はできなくとも、金銭やテロリズムなど目的が明確なものは想像に容易いです。

 

ただ、目的が曖昧だったり、理由がはっきりとしないで殺人を犯すケースが見られます。

こういった心情は少々理解し難いですよね。

 

この記事を読んでいる方でも「殺人犯の心理なんて考えたって分からないし、自分には関係ないや」って考えている人はいると思います。

けれども、人の心ほど脆く壊れやすいものです。

もしかしたら、知人あるいは自分自身がそうなるとも限らないですよね。

 

今回は、殺人を犯した理由を太陽が眩しかったこととした殺人犯が主人公の物語。

あなたが殺人犯の心理を知りたいならば、ぜひおすすめのよりみちブックです。

 

『異邦人』基本情報

『異邦人』

 

作者…アルベール・カミュ

 

訳者…窪田啓作

 

ジャンル…ヒューマン、フランス文学

 

ボリューム 

 

難易度 

 

『異邦人』登場人物

『異邦人』登場人物

 

ムルソー

船荷証券の事務所で勤務する青年

 

マリイ・カルドナ

ムルソーと同じ事務所で働いていたタイピストの女性

 

レエモン・サンテス

情婦に手を出しアラブ人と揉めるムルソーの隣人

 

『異邦人』あらすじ

『異邦人』あらすじ

 

アルジェリアのアルジェの船荷事務所で働く青年ムルソー。

養老院から電報で母親の死を告げられ、葬儀に出席するムルソーは涙を流すこともなく、特に感情も示さなかった。

 

葬儀をすませた翌日に海水浴へ出かけ、以前に事務所で同僚だったタイピストのマリイと再会する。

二人は情事にふけ、映画を観ては笑い転げた。

 

また、ムルソーは隣人であるレエモンから好意を寄せる情婦についての相談されていた。

その後、レエモンは口論になり、女を殴ったことで警察沙汰となる。

 

その翌週、ムルソーとマリイ、レエモンの三人は浜辺へ向かうと、アラブ人があとをつけてきた。

レエモンと揉め事になった情婦が兄に相談したことで、仲間をつれて報復にきたらしい。

アラブ人によってレエモンがナイフで切りつけられると、ムルソーは用心のため預かっていたピストルでアラブ人を射殺した。

 

逮捕されたムルソーは何度も尋問を受けることとなる。

予審の末、公判が始まると、ムルソーはアラブ人を殺した動機について問われ、「それは太陽のせいだ」と述べた。

廷内に笑い声が上がり、弁護士は肩をすくめる。

判決で検事の求刑どおり死刑が言い渡されることとなった。

独房で説法を説いては祈る司祭に、ムルソーは押さえていた感情を爆発させる。

 

司祭を追い出した後、自身は幸福であると確信し、処刑の日に大勢の見物人が憎悪の叫びを上げて迎え入れることだけを望むようになる……

 

『異邦人』作者

『異邦人』作者

 

アルベール・カミュ(Albert Camus)

1913年11月7日 - 1960年1月4日

フランス領アルジェリア出身

小説家、劇作家、哲学者、ジャーナリスト

 

父親を戦争で亡くし、ピエ・ノワール(黒い足)と差別を受けながら貧困街で育つ。

家には本がなく、家族には文字が読める者はいなかった。

第二次世界大戦中に刊行された『異邦人』や『シーシュポスの神話』などで不条理をテーマに扱い、注目される。

アルジェリア独立派に加担したとして植民地総督府から追放され、フランス本国に渡る。

ナチスドイツによる占領化、レジスタンス機関紙「コンバ」に筆を振るいながら『ペスト』の執筆にあたった。

1947年『ペスト』を発表すると、戦争を潜り抜けた層に大きな反響を呼ぶ。

1957年、43歳、史上2番目の若さでノーベル文学賞を受賞。

1960年、交通事故にて死去。

 

代表作…『シーシュポスの神話』『ペスト』

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『異邦人』考察

『異邦人』考察

 

なぜ本作のタイトルが『異邦人』なのか、疑問に思いませんでしたか?

異邦人とは外国人やよそ者といった意味があります。

 

ムルソーは母の死の翌日に女性と関係を結び、映画を観ては笑い転げます。

また、死刑の判決を下されたムルソーに司祭が祈る場面では感情を昂らせ追い返します。

こういった人に対して、抵抗がある方いらっしゃいますよね。

まして、キリスト教の教えを重んじるフランス社会においては特にその傾向が強かったでしょう。

タイトルを「異邦人」とする由縁はそこにあるかと思います。

 

また、ムルソーの人物像については情のない冷徹な人間であると考えることもできますし、単に不器用なだけで悪気のない人間であるとも解釈ができます。

彼の心理描写がはっきりと記されているわけではないので、読者に委ねられている部分でもあります。

 

長編小説ではありますが、130ページほどとわりと短めで手に取りやすいかと思います。

ただ、殺人の動機を太陽のせいとした心理については文面のまま捉えることもできますが、彼の心理について思い描きながら読むことでより深くこの作品を味わえるのではないでしょうか。

この作品を通して少しでも心理を知るきっかけになればと思います。

 

みなみに、自作小説で『異邦人』と題材にしたものがありますので、興味がありましたらご覧ください。

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本日は、アルベール・カミュのおすすめ小説『異邦人をご紹介しました。

 

最後までお読みいただきありがとうございます。

それでは、素敵なよりみちライフを。