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三島由紀夫『夏子の冒険』情熱的な恋を求め冒険したいときに読む小説

『夏子の冒険』情熱的な恋を求め冒険したいときに読む小説
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こんにちは、宮比ひとしです。

本日は、三島由紀夫『夏子の冒険』を、情熱的な恋を求め冒険したいときに読む小説として紹介します。

 

情熱的な恋を求め冒険したいときに読む小説

情熱的な恋を求め冒険したいときに読む小説

 

淑女のみなさん、最後に冒険したのはいつですか?

宮比は十年以上前に何日とかけて自転車旅をしたことがありますが、それきり。

憧れはありますが、日常の忙しさもあり、それ以来冒険と呼べるようなものは経験してないですねー。

 

最後もなにも冒険なんてしたことないよ、っていう方。

本当にないですか?

幼い頃は、たくさんの冒険が日々の日常に溶け込んでいませんでしたか?

 

見知らぬ道や工場の跡地、自宅の倉庫や押入。

宮比は落ちた木の棒や懐中電灯を手に、ハラハラドキドキしながら探検しました。

そんな経験、一つや二つないでしょうか。

けれども、石ころのように転がっていた冒険シーンは成長するにつれて宝石よりも見つけられなくなりました。

何だか、どこかの歌詞みたいにね。

 

それでもって、冒険に求めるものといったら情熱的な恋ですよね。

しらばっくれてもお見通しですよ。

口では、ワクワクする体験がしたい、自分を見つめなおしたい、日々の喧騒から逃れたいなんつっても、心のどっかで運命の人との出会いを求めてんでしょ。

宮比もそうでしたよ。

そんで、自転車旅で出会っちゃいましたよ……野生の鹿とね。

野生って、めっちゃデカいの。惚れてまうやろーってね。

現実的にはなかなか冒険できないけれども、情熱的な出会いと宝石のようにきらめく冒険シーンを感じたい。

 

さて、そんな情熱的な恋を求め冒険したいときに読む小説を紹介します。

本日のよりみちブックはこちら。

 

『夏子の冒険』

 

作者…三島 由紀夫

 

ジャンル…恋愛、アドベンチャー

 

ボリューム 

 

難易度 

 

わがまま度 

 

プーさん度 

 

北海度 

 

『夏子の冒険』登場人物

『夏子の冒険』登場人物

 

松浦 夏子

情熱的な性格で、何人もの男性から求婚される20歳の美しい女性

 

井田 毅

かたき討ちのため、人食い熊を探す青年

 

松浦 光子

45歳の夏子の母

 

松浦 かよ

67歳の夏子の祖母

 

近藤 逸子

55歳の夏子の伯母

 

『夏子の冒険』あらすじ

『夏子の冒険』あらすじ

 

良家の子女である20歳の夏子。

その魅力から芸術家志望の若者も、大学の助手も、社長の御曹司から言い寄られるものの、彼女自身は情熱を感じることができなかった。

退屈さに愛想をつかした夏子は、ある朝の朝食で突然に「あたくし修道院に入る」と言い出す。

 

家族一同は大反対するが、わがままな夏子は言い出したら聞かない性格。

修道院に入れないのであれば自殺するとおどかして、睡眠薬を飲んでは二晩寝続けた。

それに神経衰弱に陥った家族は、仕方なく函館の修道院に入ることを許可する。

 

嘆き悲しむ母の光子と祖母かよ、伯母の逸子を尻目に涼やかな夏子だったが、函館に向かう列車の中で、猟銃を抱えた青年の毅と出会った。

かつて恋人を四本指の熊に殺された毅。

その復讐に燃えた目に情熱的な輝きを見出した夏子は、一転して彼について行こうと手紙を残して失踪する……

 

『夏子の冒険』作者

『夏子の冒険』作者

 

三島 由紀夫(みしま ゆきお)

 

1925年1月14日-1970年11月25日

現:東京都生まれ

小説家、劇作家

 

本名、平岡公威(きみたけ)

学習院中等科在学中に『花ざかりの森』を書き、早熟の才をうたわれる。

東大法学部を卒業後、大蔵省に勤務するも9ヶ月で退職し、執筆活動に入る。

49年に最初の書き下ろし長編である『仮面の告白』を刊行し、作家としての地位を確立。

70年、自衛隊市ヶ谷駐屯地でクーデターを起こし、自決する。

 

代表作…『潮騒』『金閣寺』『仮面の告白』

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『夏子の冒険』考察

『夏子の冒険』考察

 

1951年に発表されたこの作品。

背景としては、日本の敗戦から数年の連合国の占領下の時代。良家の娘がこのような突飛な行動に出るのは、とても考えられなかったと思います。

いまなお、色あせない、三島由紀夫の感性に脱帽します。

 

また、村上春樹の『羊をめぐる冒険』が本作品のパロディーあるいは書き換えとの仮説もあります。

『羊をめぐる冒険』の第一章には「1970/11/25」という題があり、三島由紀夫が自衛隊市ヶ谷駐屯地で、自決した日にあたります。

パロディーといってよいのか悩むところですが、少なからず関連性は感じます。

 

話は少しズレましたが、見どころは何と言っても天真爛漫な夏子とそれに振り回される周囲のコミカルさ。

母、祖母、伯母の存在もトリオ漫才のようで、物語の随所随所で笑いを誘います。

 

とくに宮比が読むのをオススメしたいのは女性。

それもインドア派の一人で出かけることをためらうような女性こそ、新鮮でより楽しめる作品ではないでしょうか。

一途で情熱的な恋にまっしぐら、わがまま娘ではあるけれど魅力的な夏子と冒険を共にしてみませんか?

 

 

本日は、情熱的な恋を求め冒険したいときに読む小説として、三島由紀夫『夏子の冒険』を紹介しました。

興味が湧きましたら、ぜひ手に取って読んでみてください。

 

裕福な家で奔放に育った夏子は、自分に群がる男たちに興味が持てず、神に仕えた方がいい、と函館の修道院入りを決める。ところが函館へ向かう車中、瞳に情熱的な輝きを宿す一人の青年と巡り会う。傑作長編ロマンス!

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

それでは、素敵なよりみちライフを。