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伊坂幸太郎『フィッシュストーリー』バンドを辞めたいときに読む小説

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こんにちは、宮比ひとしです。

本日は、伊坂幸太郎『フィッシュストーリー』についてご紹介します。

 

バンドを辞めたいときに読む小説

バンドを辞めたいときに読む小説

 

バンドっていいですよね。

宮比も若かりし頃、音楽に憧れる時期があり、ピアノやギターに挑戦してみたことがあります。

もう全然ダメダメでしたけどね。

そもそも動機が不純。

楽器が弾けるようになってモテたい。あわよくば、弾けなかったとしてもやっていたという事実だけで何とかモテたい。

台風翌日の川の濁流くらい濁っちゃってましたからね。濁りに濁ってます。もう、純度マイナス120%の勢いで濁りきってます。

さらには、ひょんなことからバンド始めちゃって、それが人気出ちゃったりして、ついには武道館コンサート登り詰めちゃったりして。

なんて、妄想を抱きつつ意気込んで始めてみた結果、どれも長続きせず。

後に残るは、新品同様のギターと痙攣した指先の痛みだけですよ。

 

カラオケにも、せこせこと精を出してたこともあります。

先日部屋の整理をしていたら一枚のCDを発見しました。ラベルもなにもありません。

「なんだこれ?」と首を傾げつつ、プレイヤーに挿入。再生ボタンをポチッ。

すると、自信なさげで、妙な裏声を駆使したヘタッピな歌が流れてきました。

歌声の主は宮比でした。

ORANGE RANGEの『イケテナイ太陽』まんまあんな感じで。

もう血の気が引きましたね。

 

しかも、若かりし頃、自信たっぷりに当時の付き合っていた彼女にプレゼントしてましたからね。

何者なんだ、と。

またその選曲が吉井ロビンソンさんの『CALL ME』なわけですよ。

♪電話一本でいつでも駆けつけてやる

♪後悔させないぜ

って感じの歌詞ですね。

 

電話一本どころか着歴十件くらい入ってても、気づかなかったりしてましたからね。

どの面でこのCDを渡したのやらね。

ホント何者なんだ、と。

後悔させないぜ!どころか、「あなたと付き合って後悔しかない」って振られましたからね。

もうね、速攻でCDを叩き割りましたよ。

しかし、プレゼントした方のCDが残ってる可能性ありますよね。

こんなの黒歴史以外なんでもないですから、この世から抹消されているのを祈るばかりです。

 

まあ、そんな宮比は論外ですが、才能があったとしてもバンド活動で生活していける人は一握りではないでしょうか。

どんなにいい曲だとしても運がないと売れなかったりしますしね。

努力が報われず心が折れたり、バンドメンバーが脱退したり、家族や友人に説得されたり、多くの人が道半ばで夢を諦めるのが現実ですよね。

夢を諦め、これが最後のレコーディングって決意したとき、一体どんな思いで臨むのでしょうか。

誰かに届いてほしい、その思いはどこかで繋がり、もしかしたら世界を救うきっかけになるかもしれません。

 

さて、そんなバンドを辞めたいときに読む小説をおすすめします。

本日のよりみちブックはこちら。

 

『フィッシュストーリー』

『フィッシュストーリー』

 

作者…伊坂 幸太郎

 

ジャンル…エンタメ、ミステリ

 

ボリューム 

 

難易度 

 

『フィッシュストーリー』登場人物

『フィッシュストーリー』登場人物

 

雅史

すでに解散したロックバンドに興味をもった青年

 

繁樹

ロックバンドのリーダー

 

五郎

ロックバンドのヴォーカル

 

『フィッシュストーリー』あらすじ

『フィッシュストーリー』あらすじ

 

二十数年前、現在、三十数年前、十年後の時系列で物語は進行する。

 

「僕の孤独が魚だとしたら、そのあまりの巨大さと獰猛(どうもう)さに、鯨でさえ逃げ出すに違いない」

小説の一節をふと思い出していた雅史は友人との会話から、この文章を引用したロックバンドの曲があったことを知る。

理由は不明だが、その曲には突然音が途切れる箇所が存在するらしかった。

そのバンドはすでに解散していた。

 

友人に勧められ雅史はその曲をレコード屋で購入した。夜道をドライブし、窓を開け放したまま、カーステレオを再生する。

何曲目かで、そのフレーズは飛び出した。

雅史が口ずさむと、静けさは唐突に訪れた。

例の間奏中の無音。

そのとき、開け放した窓の外から声が聞こえてきた。

女性の悲鳴だった。

 

ときは、さらにさかのぼり三十数年前、繁樹と五郎は最後のレコーディングの日を迎えていた……

 

『フィッシュストーリー』作者

『フィッシュストーリー』作者

 

伊坂 幸太郎(いさか こうたろう

 

1971年5月25日-

千葉県松戸市出身

小説家

 

東北大学法学部卒業後、システムエンジニアとして働きながら執筆活動。

2000年に『オーデュボンの祈り』にて新潮ミステリー倶楽部賞を受賞し、デビューする。

2004年『アヒルと鴨のコインロッカー』で吉川英治文学新人賞、『死神の精度』で日本推理作家協会賞短編部門、2008年『ゴールデンスランバー』で山本周五郎賞と本屋大賞、2014年『マリアビートル』で大学読書人大賞を受賞。

現在は宮城県仙台市に住んでおり、ここを舞台にした小説が多い。

 

代表作…『アヒルと鴨のコインロッカー』『ゴールデンスランバー』『重力ピエロ』

 

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『フィッシュストーリー』考察

『フィッシュストーリー』考察

 

様々な時代を通して、売れないロックバンドの曲が時空をまたいでリンクし、世界を救う物語です。

努力が報われず心が折れたり、メンバーが脱退したり、家族や友人に説得されたり、バンド活動をすることが困難になることがあります。

続けるか、辞めるかはあなた次第ですが、この小説はひとつのメッセージになるのではないでしょうか。

 

誰かに届いてほしい、その思いはどこかで繋がり、もしかしたら世界を救うきっかけになるかもしれない。

たとえ辞めたとしても、作った楽曲がそんな風に誰かに届くとしたら今までやっていたことは無駄ではなかったと思えてくる内容となっています。

 

宮比のイケテナイ太陽的な黒歴史CDもこの世に残ってたとしたら、何十年後かに、もしかして世界を救うきっかけになるやもしれません。

 

以上、バンドを辞めたいときに読む小説として伊坂幸太郎『フィッシュストーリー』をご紹介しました。

本日は最後までお読みいただきありがとうございます。

それでは、素敵なよりみちライフを。