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イプセン『人形の家』夫から所有物みたいに扱われるときに読む小説

イプセン『人形の家』夫から所有物みたいに扱われるときに読む小説
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こんにちは、宮比ひとしです。

本日は、イプセン『人形の家』についてご紹介します。

 

夫から所有物みたいに扱われるときに読む小説

夫から所有物みたいに扱われるときに読む小説

 

結婚生活を続けていると、ふと思いふけることってないですか?

「これでいいのかしら……」と。

夫は真面目に働くし、社会的地位もある。

子宝にも恵まれ、家族を大切にしてくれる。

だけれども、なんだか満たされない。

違和感がある。

 

普段は優しい夫。

しかし、彼の意にそぐわない言動をすると急に怒り出したり、不機嫌になったりすることってないでしょうか。

結婚生活を円満にするため努力するうちに、知らず知らずのうちに夫の顔色をうかがいながら接してしまう。

大人しく従順な妻に夫は機嫌を良くし、より大切にしようとします。

大切にされていれば、それはそれで喜ばしいことなので夫の言うこと、やることに口を挟まず、ただ従い続けます。

本来の自分を見失ってまでも。

 

あなたの変化に気づかず、結婚生活を営む夫の妻への想いは、愛情と言うより人形を愛でるかのよう。

それは、人としてあなたを愛しているわけではなく、まるでお気に入りの所有物。

 

さて、そんなあなたに夫から所有物みたいに扱われるときに読む小説をおすすめします。

本日のよりみちブックはこちら。

 

『人形の家』

『人形の家』

 

作者…イプセン

 

訳者…矢崎 源九郎

 

ジャンル…ヒューマン、戯曲

 

ボリューム 

 

難易度 

 

『人形の家』登場人物

『人形の家』登場人物

 

ノラ

三人の子供の母

 

ヘルメル

弁護士であるノラの夫

 

クログスタット

法律代理人

 

『人形の家』あらすじ

『人形の家』あらすじ

 

配達人がクリスマスツリーを持ってくるのを見て、ノラはニコニコと愉しそうに鼻唄をうたっていた。

そんなノラに対して、夫のヘルメルはこう言う。

「そこでさえずってるのは、うちのヒバリさんかい?」

「そこで跳ね回ってるのは、うちのリスさんかい?」

弁護士であるヘルメルは時期に銀行の頭取に就任することが決まっており、その夫から小鳥のように愛され、三人の子供がいるノラは不自由なく平和な生活を送っていた。

 

ただ、ノラには夫には秘密にしていることがあった。

ヘルメルが病で療養してた頃に、夫には内緒で借金をしていたのだ。

ただ、夫のための借金であったこと、返済は続けていたことからやましい気持ちはなかった。

 

そんなとき、その秘密を知る人物であり法律代理人のクログスタットがノラを訪ねてきた。

クログスタットは借用書を示し、保証人であるノラの父の署名が本人のものではないことを見抜いていた。

ノラは署名を偽造したことを認めると、公になれば罪を問われることになることを脅される。

クログスタットはヘルメルが頭取に就任予定の銀行に勤めており、地位を保てるよう力添えしてほしいと交換条件を持ちかけてきた。

 

ノラはヘルメルにクログスタットの人事について相談するも、解雇は決定していると取り合ってもらえない。

クログスタットの元に解雇通知が届くと、ノラの罪は暴かれた。

妻の秘密を知ったヘルメルは社会的に葬られることを恐れ、ノラに激怒して罵しる。

夫の新たな一面を知ったことで、今まで小鳥のように優しくされていたノラは……

 

『人形の家』作者

『人形の家』作者

 

ヘンリック・イプセン(Henrik Ibsen)

 

1828年3月20日-1906年5月23日

ノルウェー出身

劇作家、詩人、舞台監督

 

幼いとき家が破産し、風刺的な詩や戯曲を書きはじめる。

創刊した週刊誌は廃刊し、支配人であった劇場も経営不振で閉鎖となるが戯曲や近代演劇が世に認められる。

また、女性解放運動にも大きな影響を与えた。

 

代表作…『ブラン』『幽霊』『民衆の敵』

 

『人形の家』考察

『人形の家』考察

 

結婚生活を続けていると、「これでいいのかしら」と思いふけることがあります。

基本的に真面目に働き、社会的地位もあり、妻を大切にしてくれますが、彼の意にそぐわない言動をすると急に怒り出したり、不機嫌になったりする夫。

人としてあなたを愛しているわけではなく、まるでお気に入りの人形のように感じますよね。

 

人形の家』は、夫ヘルメルにとってニコニコしてさえずる小鳥のように可愛らしい妻ノラが、借金事件をきっかけにして、まるで所有物のように扱われていたことに気づくという内容。

そして、人形として生きていくより、人間として生きることを決断する過程が描かれています。

 

本作は戯曲であり、初演があった1879年、ノラの取った行動に対して、厳しく断罪する声と新しい女性像として賛辞する声の賛否両論がわき起こりました。

現代社会では女性の社会進出はずいぶん進みましたが、男女が対等かと問われるとそうでない部分もあります。

とくにヘルメルのように夫に社会的地位がある場合、その傾向が強いのではないでしょうか。

ノラの生き方を通して、結婚生活や夫婦愛とは何か、人間として生きるとはどういうことかを見つめ直すことができるところが見どころとなります。

また、この物語はすべてヘルメルの家の中で出来事となっており、タイトルにある人形の家にスポットをあてた構成となっています。

ちなみに、手塚治虫『七色インコ』の中で『人形の家』がモチーフになっている回がありますので、興味がある方は手に取ってみてください。

 

以上、夫から所有物みたいに扱われるときに読む小説としてイプセン『人形の家』をご紹介しました。

本日は最後までお読みいただきありがとうございます。

それでは、素敵なよりみちライフを。