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スティーヴンソン『ジーキル博士とハイド氏』二面性に恐怖する小説

スティーヴンソン『ジーキル博士とハイド氏』二面性に恐怖する小説
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こんにちは、宮比ひとしです。

本日は、スティーヴンソン『ジーキル博士とハイド氏』「二面性に恐怖する小説」として紹介します。

 

二面性に恐怖する小説

二面性にゾッとする小説

 

人間って裏の顔があるじゃないですか。

多かれ少なかれ誰でもありますよね。

多少のギャップなら、「こんな一面あったんだ。意外」で済みます。

でも、そのギャップの差が激しいとゾッとしますよね。

 

白シャツのよく似合う清潔な好青年が、こっそり鼻糞ほじくってペロペロしてるのを目撃したとき。

誰にでも優しくいつも笑顔の女の子が、無表情でハエを叩き潰してたのを目撃したとき。

恐怖ですねー。

まさにホラーですねー。

稲川淳二も仰天ですねー。

 

しかし、怖いと分かっていても興味が勝り、つい見ちゃいたくなるのが人間のサガですよね。

 

さて、そんなあなたに「人間の二面性に恐怖する小説」を紹介します。

本日のよりみちブックはこちら。

 

『ジーキル博士とハイド氏』

 

作者…スティーヴンソン

 

ジャンル…ホラー

 

ボリューム 

 

難易度 

 

ネタバレ度 

 

古典度 

 

ハイ度 

 

『ジーキル博士とハイド氏』登場人物

『ジーキル博士とハイド氏』登場人物

 

ジーキル

医師であり慈善事業にも取り組む紳士

アタスン

ジーキルより遺言書を預かる弁護士

ハイド

残忍で醜悪な容姿をした小男

 

『ジーキル博士とハイド氏』あらすじ

『ジーキル博士とハイド氏』あらすじ

 

19世紀のロンドン。

医学、法学の博士号を持つ高潔な紳士ジーキル

その友人である弁護士のアタスンは、親戚からある日の出来事を耳にする。

 

繁華街の裏通りで醜悪な容貌の小男ハイドが、ぶつかって転んだ少女を平気な顔で踏みつけて、泣き続けているにも関わらず立ち去ろうとした。

聞きつけた婦人たちが家族への慰謝料を騒ぎ立てると、ハイドは戸口から百ポンド(2020年のレートで換算すると15,000円ほど)もの金貨と小切手を持って出てきた。

驚くことにその建物と署名は友人のジーキル博士のものだった。

 

アタスンは自宅に戻ると、以前ジーキル博士の依頼で作成した遺言書を金庫から取り出す。

そこには、ジーキルが死亡もしくは三ヶ月以上の失踪、理由不明の不在の場合は恩人であるハイドが全ての所有財産を譲渡するとされていた。

アタスンはそれまで、ハイドがいかなる人物か謎に思っていたが、親戚の話を聞き、財産を狙うハイドによってジーキル博士が恐喝されているのではないかと推察する。

そこで、アタスンはハイドの捜索を開始する……

 

『ジーキル博士とハイド氏』作者

 

ロバート・ルイス・スティーヴンソン(Robert Louis Stevenson)

 

1850年11月13日-1894年12月3日

スコットランド・エディンバラ生まれ

小説家、詩人

 

生まれつき病弱であり、結核のため各地を転々としながら療養。

エディンバラ大学で工学を学ぶものの、後に弁護士を取得する。

1874年にエッセイ『南欧に転地を命ぜられて』を雑誌に発表し、1879年にアメリカへ渡り、翌年結婚し帰国。

1890年より、サモア島に移住するが4年後に急死。

 

代表作…『宝島』『ジーキル博士とハイド氏』『新アラビア夜話』

 

『ジーキル博士とハイド氏』考察

『ジーキル博士とハイド氏』考察

 

この作品のオチはあまりに有名で、「知らない人っているの?」ってくらい知れ渡っていますよね。

小説読んでなくても、タイトルは聞いたことある人が大半なんじゃないですかね。

タイトルが代名詞のように使われてたり、様々な作品にパロディー化されてたり。

新潮文庫の裏表紙にあるあらすじに至っては、物語の核心部分まで書いてある始末。

これって、推理小説だとしたら、犯人は〇〇って書いちゃってるレベルですよ。

隠す気みじんもない。潔すぎ。

 

ま、でもね。

読んでみると想像してたのと印象変わりますよ、コレ。

あんまり詳しく書くと、読んだ時の感動が薄れるから書かないけど、サイコスリラーかと思ったら怪奇ものに近いかな。

もしも、今までオチを知らない人がいたとしたら、ある意味で運命ですよ。

 

「いやー、タイトルすら聞いたことないわ」

「ハイドって、L'Arc-en-Cielのボーカルでしょ? ジーキル博士……知らね」

「なにそれ、おいしいの?」

こんな方は、かなりのレアケース。

そして、今までネタバレの包囲網を自然と潜り抜けてきたのは、運命といって良いかもしれません。

 

小説をどのタイミングで読むかって、かなり重要じゃないですか?

思い悩んでるいるときに小説の主人公も同じような境遇だったり、ツライときに明るい気持ちにさせてくれたり。人生に絶望しているときに、生きる希望を与えてくれる小説。

そういったタイミングで読んだ小説って、一生の思い出に残るんですよね。

まさに運命の出会いです。

なので、あなたがレアケースに当てはまるなら読むのを強くおすすめしますね。

 

さて、本作のジャンルはホラー。

それも、フランケンシュタインや吸血鬼とかと並ぶくらいの古典的なね。

今なお代名詞のように語り継がれてるってことは、当時この作品が社会に与えたインパクトがよほど大きかったことを物語っているようですね。

高潔で紳士なジーキル博士と醜悪な小男ハイドの関係性が、アタスンの視線でスリリングに展開していきます。

ジーキル博士の友人であり弁護士アタスンの回想録と、ジーキル博士の陳述書からなる二部構成。

夏目漱石の『こころ』のような構成をとっており、ジーキル博士の陳述書で幕を引く結末は不思議な余韻を残します。

 

 

以上、「人間の二面性に恐怖する小説」として、スティーヴンソン『ジーキル博士とハイド氏』をおすすめしました。

興味が湧きましたら、ぜひ手に取って読んでみてください。

 

医学、法学の博士号を持つ高潔な紳士ジーキルの家に、いつのころからかハイドと名乗る醜悪な容貌の小男が出入りするようになった。ハイドは殺人事件まで引起す邪悪な性格の持主だったが――。人間の心にひそむ善と悪の闘いを二人の人物に象徴させ、今なお名高い怪奇小説の傑作。

 

本日は最後までお読みいただきありがとうございました。

それでは、素敵なよりみちライフを。