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芥川龍之介『猿蟹合戦』昔話に文句つけたい時に読む小説

芥川龍之介『猿蟹合戦』昔話に文句つけたい時に読む小説
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こんにちは、宮比ひとしです。

本日は、芥川龍之介『猿蟹合戦』を、昔話に文句つけたい時に読む小説として紹介します

 

昔話に文句つけたい時に読む小説

昔話に文句つけたい時に読む小説

 

さて、昔話に文句つける人っていますよね。

あ、あなたもそのクチ?

隠したってダメですよ。

 

昔話を聞いたら、文句つけたくて堪んないクチでしょ。

昔話ってさ、ツッコミどころ満載ですんね。

その気持ち分かるよ、分かる。

 

『桃太郎』なんて、川から流れてきたドデカイ桃に驚愕しながらも、とっ捕まえて食そうとする老婆。

桃を真っ二つにしたら、中から出てた赤ん坊。お前、どんな姿勢で避けたんだ、と。

 

鬼を退治しに行くのに、お供はまさかの動物三匹。

犬って柴犬? ドーベルマンかシェパードなら尚よいが、まあ分かる。

猿もまあまあ分かる。

ただ、キジ。おめーはだめだ。ここは譲れねー。明らかな戦力外。

なぜこのチョイスをした桃太郎。

 

裏鬼門か何だか知らねーけど、選ぼうぜ桃さん。人選ならぬ獣選大切よ。

もうね、桃太郎に狂気すら感じちゃいます。

両さんがいちゃもんつけたくなる気持ちも分かりますよ。

 

昔話って、ほんとツッコミのオンパレード。

なぜ『浦島太郎』は海の中でも呼吸できてるのか、なぜ『シンデレラ』のガラスの靴だけ、12時回っても魔法が解けないとかね。

挙げだしたらキリないですよね。

 

いちゃもんの玉手箱やー、ってね。

なーんて、昔話にいちゃもんつけたい、つけたい、つけたくてたまんねー。

「なにがたまんねーんだ」つって、珍ぱち先生に怒られそうなそこのあなた!

 

さて、そんなあなたに芥川龍之介の『猿蟹合戦』を紹介します。

本日のよりみちブックはこちら。

 

『猿蟹合戦』

 

作者…芥川 龍之介

 

ジャンル…パロディー、社会風刺

 

ボリューム 

 

難易度 

 

シリアス度 

 

やりすぎ度 

 

復讐度 

 

『猿蟹合戦』登場人物

『猿蟹合戦』登場人物

 

握り飯を奪われた仕返しに臼、蜂、卵と共謀して猿を殺害した主人公

 

『猿蟹合戦』あらすじ

『猿蟹合戦』あらすじ

 

蟹は臼と蜂、卵と共に、握り飯を奪った猿を殺したところから物語は始まる。

猿をやっつけた後、蟹やその仲間はどういった運命を辿ったか、昔話では語られなかった。

蟹は穴の中に、臼は台所の土間の隅に、蜂は軒先の蜂の巣に、卵は籾殻(もみがら)の箱の中に、平穏な生涯でも送ったかのように思われていたが、それは偽りである。

 

彼等は仇を取った後、警官に捕まり、ことごとく監獄に入れられた。

そして、裁判の結果……

 

『猿蟹合戦』作者

『猿蟹合戦』作者

 

芥川 龍之介(あくたがわ りゅうのすけ)

 

1892年3月1日-1927年7月24日

現:東京都出身

小説家

 

短編、また『今昔物語集』『宇治拾遺物語』といった古典を題材にしたものが多い。

1916年、第4次『新思潮』の創刊号に掲載した『鼻』が、夏目漱石に絶賛される。

35歳のとき、自室にて服毒自殺する。

 

代表作…『羅生門』『鼻』『藪の中』

 

『猿蟹合戦』考察

『猿蟹合戦』考察

 

芥川龍之介といえば『羅生門』や『地獄変』といった人間の心の奥底にある欲望をテーマにした作品が特徴的ですよね。

高校国語で取り上げられていますし、日本を代表する文豪ですから、内容を覚えてなくても名前は耳にしていますよね。

 

作品は古典を題材にしたもの、かつ短編が多いです。

今回の『猿蟹合戦』も、みなさん昔話でご存知の『さるかに合戦』を題材にし、とても短い話となっています。

ただ、結構な勢いで龍之介がぶった切ってます。

これを読むと、あなたの芥川龍之介のイメージが一変するかもしれませんよ。

 

さて、この話は『さるかに合戦』の後日談です。

猿に握り飯を奪われ、さらに渋柿を投げつけられた蟹が、臼(うす)や蜂、卵と一緒に仕返しをして、猿を殺してしまうって話でしたよね。

最近の幼児向けの昔話では、反省をした猿がみんなに謝り、会心するという話が多いです。

時代の流れですね。

 

卵なんていたっけ? と思われた方。

1887年の教科書に掲載された『さるかに合戦』で、クリの代わりに卵が登場し、爆発して猿を攻撃したようです。

明るくみせかけて、よくよく考えると陰惨な復讐劇ってところにスポットをあてたこの作品。

後半の世論を問うシーンでは風刺も効かせてあり、笑えつつも考えさせられます。

 

また、パロディーって、今では漫画やアニメでよく見ますが、小説だと逆に新鮮に感じます。

一見難しそうな印象も受けますが、昔話を題材にしてるため、すんなりとストーリー入ってきますよ。

 

昔話を読むと文句つけたくて、たまんねーたまんねーとウズウズしちゃってるあなた。

蟹の後日談をシリアスな展開にのせて、龍之介がバッサリ一刀両断してくれてます。

これはもう読むっきゃないっしょ。

 

 

本日は、昔話に文句つけたい時に読む小説として、芥川龍之介『猿蟹合戦』を紹介しました。

興味が湧きましたら、ぜひ読んでみてください。

 

大正期に活躍した「新思潮派」の作家、芥川竜之介の短編小説。初出は「婦人公論」[中央公論社、1923(大正12)年]。単行本未収録であり、「芥川龍之介全集」第9巻に収録された。いわゆる古典名作「猿蟹合戦」の後日談であり、猿の悪意は証拠不十分、蟹の仇討行為は死刑に値するとして処刑され、死刑後の蟹の家庭は崩壊するというパロディ作品になっている。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

それでは、素敵なよりみちライフを。