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手塚治虫『奇子』エロホラーのおすすめ漫画

手塚治虫『奇子』エロホラーのおすすめ漫画
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こんにちは、宮比ひとしです。

本日は、手塚治虫『奇子』エロホラーのおすすめ漫画としてご紹介します。

 

エロホラーのおすすめ漫画

エロホラーのおすすめ漫画

 

漫画の神様と呼ばれる手塚治虫は、ストーリー漫画を確立しただけでなく、冒険もの、ミステリー、ギャグなど、少年から大人まで誰もが熱中できる幅広いジャンルの漫画を世に送り出しました。

以前にご紹介した『人間昆虫記』もそうでしたが、ダークでエロティックな作品が数多く存在します。

 

今回おすすめするのは、古い風習が残る旧家を舞台にし、不遇な運命により長年幽閉された少女の物語。

もしも、あなたが幼い頃に監禁され、そのまま大人になったとしたらどうでしょう?

考えただけでもゾッとしますね。

さらに身体の変化に戸惑い、苦しむことになるでしょう。

物語の少女もそう。

一人孤立した闇の世界に苦しみながらも、次第に美しい女性へと成長を遂げます。

 

さて、そんな呪われた一族がおりなすホラー劇と、性の知識を得ないまま大人になった女性が苦しみながらも快楽に溺れるエロティック描写が魅力的なエロホラー漫画をおすすめします。

本日のよりみちブックはこちら。

 

『奇子(あやこ)』

『奇子』

 

作者…手塚 治虫

 

ジャンル…ホラー、エロス

 

ボリューム 

 

難易度 

 

『奇子』登場人物

奇子

天外 奇子(てんげ あやこ)

土蔵地下に幽閉されることとなる4歳の天外家の末っ子。

 

仁朗

天外 仁朗(てんげ じろう)

天外家の次男であり、GHQの秘密工作員。

 

作右衛門

天外作右衛門(てんげ さくえもん)

奇子のことを溺愛する天外家の家長。

 

ゐば

天外 ゐば(てんげ ゐば)

作右衛門に奉公する妻。

 

市郎

天外 市郎(てんげ いちろう)

ひより見主義者の天外家の長男。

 

すえ

天外 すえ(てんげ すえ)

無口で虚無的な悲しさの漂う市郎の妻。

 

志子

天外 志子(てんげ なおこ)

18歳の高校生であり、共産主義者の天外の長女。

 

伺朗

天外 伺朗(てんげ しろう)

12歳の小学生だが、しっかりしており理論家である天外家の三男。

 

『奇子』あらすじ

『奇子』あらすじ

 

終戦後の昭和24年。

日本軍として出兵し、マニラに収容されていた天下仁朗が、横浜港にて母ゐばと妹の志子に出迎えられる。

再会もつかの間、天下家に戻る前に、仁朗が一人立ち寄ったのはGHQ(占領軍総司令部)だった。

マニラ郊外の収容所キャンプにいた頃、生き延びるため彼は仲間を裏切り、米国側のスパイとして活動していたのだ。

GHQのフレッド・キノシタ中尉から、後日ある司令が下ることを知らされる。

 

天外家に到着すると、仁朗は父である作右衛門のもとへ挨拶にうかがう。

彼の膝元にいたのは見知らぬ少女。名前を奇子と言った。

旧家の大地主である作右衛門は傲慢、尊大、放蕩など侮蔑の形容ばかりあたる人物であり、親族では誰一人として頭が上がらなかった。

そんな彼が奇子だけは目に入れても痛くない存在だった。

高齢であるゐばが産んだと思えず、誰に産ませたのかといぶかる仁朗。

その後、長男一郎に挨拶した際に義姉であるすえを見て、驚愕する。

奇子とすえが似ていたばかりでなく、首元の同じ位置にホクロがあったのだった。

作右衛門は財産を譲る代わりにすえを差し出すように提案し、市郎はそれを受けた。そして、産まれてきたのが奇子であり、表向きには作右衛門とゐばの子どもにしたと志子は打ち明ける。

 

後日、GHQから「写真の男を引き渡し、三十分後に死体を列車の線路に置く」という指令が仁朗に下った。

帰り道、偶然に写真の男とすれ違い、後をつけると、そこは共産主義者の寄合である。

参加者の中には志子がおり、写真の男は彼女の恋人であることを知った。

交際を止めるよう説得するものの、志子は応じることはなかった。

苦悩しながらも任務を実行した仁朗だったが、死体の血がシャツに付着してしまい、それを洗っているところを奇子に見られてしまう。

 

ところ変わって、GHQの指示のもと三万人もの人員整理を発表した国鉄総裁の霜川則之が、行方不明になったとの報道が入り、数日後にバラバラの轢死体となって発見された。

 

写真の男の名を江野正といい、警察は彼の恋人だった志子の関係者を調査していた。

そんなとき、取り調べを受ける作右衛門とともにいた奇子は、仁朗が血を洗っているのを見たと口にしてしまう。

作右衛門と市郎が問いただすが、仁朗は処女と関係を持ったことで付いた血だと打ち明け、言い逃れることに成功する。

しかし、三男の伺朗だけは不審に思い、血の付着したシャツの存在を気にしていた。

警察に発見されたらと不安感に苛まれる仁朗は、証拠を隠滅するため、地面に隠していたシャツを燃やすことにする。

後をつけていた伺朗は、仁朗を助けるふりをしてシャツを押収した。

 

一郎は家名が汚れることを防ぐため、警察に追われる身となった仁朗を逃がし、事件に関与していることを奇子が警察に洩らさないよう地下牢へ閉じ込める。

そして、彼女の死亡届を出すことを断行した。

年月とともに村人の記憶から消し去られ、呪われた出生を背負った少女は、次第に大人の女性へと成長していく……

 

『奇子』作者

『奇子』作者

 

手塚 治虫(てづか おさむ)

1928年11月3日-1898年2月9日

大阪府豊中市に生まれ、兵庫県宝塚市で育つ

漫画家

 

大阪大学医学専門部卒業で医学博士。

1946年『マアチャンの日記帳』でデビューし、『新宝島』が大ヒット。

日本のストーリー漫画の確立、アニメーションなど数々の功績を遺しました。

 

代表作…『ブラックジャック』『火の鳥』『ブッダ』『鉄腕アトム』

 

『奇子』考察

『奇子』考察

 

GHQ、秘密工作員、下山事件との関連性、農地改革による地主の衰退、奇子のエロホラー描写について考察します。

 

GHQとは

 

GHQとは連合国軍最高司令官総司令部のことであり、第二次世界大戦に敗れた日本で占領施策を実施した連合国軍機関。

 

1945年、終戦に伴い締結されたポツダム宣言により、日本は無条件降伏しました。

連合国総指令官ダグラス・マッカーサーの指揮のもと、日本を民主化、弱体化させるため様々な政策が行われます。

主には軍国主義の廃止農地改革です。

軍国主義の廃止について、具体的に日本陸海軍の解散、軍需産業の停止、軍事力を伴う治安維持法や特別高等警察などを廃止させました。

農地改革は『奇子』のバックヤードを考察する上での中核部分となるので、詳しくは後述します。

 

秘密工作員とは

 

秘密工作員とは、いわゆるスパイのことで政府や組織に雇われ、秘密裏に指令を実行する者のことです。

 

占領政策に必要な情報収集のため、昭和24年にジャック・Y・キャノンを司令官とする組織が密かに作られました。

GHQ参謀第2部(G2)直轄の秘密諜報機関としてキャノン機関と呼ばれます。

多数の工作員の中には、日本人も含まれており、元軍人などを戦犯免除と引き換えに採用にした例もあったと言われています。

また、キャノン機関は日本の共産主義勢力の弱体化にも暗躍しました。

 

下山事件との関連性

 

下山事件とは、初代国鉄総裁である下山定則(さだのり)氏が失踪し、死体となって発見された事件のことをいいます。

作中では霜川事件とされていますが、ほぼ史実どおりの展開となります。

 

1949年(昭和24年)に日本国有鉄道(国鉄)の初代総裁に就任した下山は、7月5日の出勤途中、運転手に日本橋の三越に行くよう指示しました。

公用車から降りた下山は、一人で三越に入りそのまま消息を絶っています。

失踪の当日は人員整理をめぐって緊張した状況であったことから社内ではパニックとなり、警察による失踪事件として捜査が開始。翌日7月6日に汽車に轢断された下山の遺体が発見されました。

 

GHQより大量の人員整理を強要されており、下川は苦悩していたことから自殺説・他殺説が入り乱れ、公式の捜査結果がないまま打ち切り、未解決事件となりました。

また、国鉄三大ミステリー事件のひとつとも言われています。

 

農地改革による地主の衰退とは

 

農地改革とは、大地主から強制的に国が土地を買い上げ、小作人に売り渡すというものです。

 

前述したとおり、GHQの占領施策のひとつにあった農地改革。

民主化を進めるにあたり、GHQの最高司令官であるマッカーサーは日本政府に対して、農民を奴隷化してきた封建的圧制を打破することを指示しました。

これにより、大規模な地主は国によって土地を安値で買い上げられ、小作人に売り渡されました。

多くの自作農家が誕生し、数世紀にも及んだ地主と百姓の縦社会は分断されることになります。

 

天外家はそういった大地主の典型です。

家長である作右衛門に誰も逆らうことができなかったり、村人を従えて仁朗を縄で括るシーンがあったり、封建的な風習は残りつつ、一家の衰退していく様子が描かれています。

土地を搾取されたと嘆き悲しむ者、仕方ないと諦める者、封建的圧制に従う者、反発する者と様々な登場人物が織りなす人間描写と悲壮感の漂うストーリーとなっています。

 

奇子のエロホラー描写

 

本作の主人公である奇子エロホラー描写が本作の魅力です。

 

世間の体面上、天外家の末っ子とされていますが、本当は作右衛門が長男一郎の妻であるすえに産ませた私生児となっています。

溺愛され育てられていたものの、仁朗が起こした殺人事件の証拠を隠滅する場面を目撃してしまったこと、市郎にとって憎らしい存在だったことから土蔵に幽閉されることとなりました。

 

奇子は少女から大人の女性へと成長する中で、危なげな魅力を醸し出します。

背が伸び、胸も膨らみ、長い黒髪のよく似合う美しい女性となりました。

奇子が生きていることを知る特定の人としか会うことができず、性への知識は乏しいです。

そのため、近親相姦に対してのためらいもありません。

少女のように純粋な心と女性としての美しい身体、闇の中で生きてきた境遇が彼女を引き立たせます。

 

 

以上、エロホラーのおすすめ漫画として手塚治虫『奇子』をご紹介しました。

最後までお読みいただきありがとうございます。

それでは、素敵なよりみちライフを。

 

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