こんにちは、宮比ひとしです。
本日は不倫と純愛で悩んだときに読む小説としてトルストイ『アンナ・カレーニナ』を紹介します。
不倫と純愛で悩んだときに読む小説
ちまたでは不倫純愛なんて言葉が、どこぞの族かってくらい横行してるじゃないですか。
不倫と純愛。
全く相反する言葉が見事にフュージョンし、世間に浸透しちゃってます。
「不倫してっけど、想いは一途なんよ」
「結婚してっけど、真実の愛に目覚めちゃったんよ」
なんつってさー。
「浮気なんて絶対許せねー。もしされたらビンタして、蹴飛ばして、ピーをちょん切って、頬にツバ吐き捨ててやって、即離婚してやるわ」って人もいればさ、「気持ちが他の人に移ってんのに結婚生活を続けるなんて相手に悪いくない? それに自分に偽ってまで一緒にいらんない」みたいな人もいますよね。
そりゃ、誰もが純愛がいいって口では言うけど、実際自分がその立場になってみないと本当に不倫がダメなのか、不倫が純愛だって言いきれちゃうのか分かんないですよね。
あなたはどうですか?
っつーか、現在進行形で悩んじゃってます?
あんれまあー。
さて、そんな不倫と純愛で悩んだときに読む小説をご紹介します。
本日のよりみちブックはこちら。
『アンナ・カレーニナ』基本情報
作者…トルストイ
訳者…木村浩
ジャンル…ヒューマン、恋愛、ロシア文学
ボリューム
難易度
『アンナ・カレーニナ』登場人物
アンナ・カレーニナ
社交界でひときわ輝く美貌をもったカレーニンの妻
アレクセイ・カレーニン
政府高官であり、アンナの二十歳年上の夫
オブロンスキー
モスクワで役所の長官を務めるアンナの兄
アレクセイ・ヴロンスキー
伯爵の一人息子であり、莫大な財産と美しい容姿をもつ青年武官
コンスタンチン・リョーヴィン
地方であるカジランスキー郡に広大な土地をもつ体格のよい青年
キティ
ヴロンスキーに好意を寄せるオブロンスキーの義妹
『アンナ・カレーニナ』あらすじ
1870年代のロシアが舞台。
社交界でひときわ輝く美貌の持ち主であるアンナ・カレーニナは、望まない結婚であった俗物官僚のカレーニンと愛のない日々を送っていた。
兄であるオブロンスキー夫婦の不和を仲裁するためにモスクワにやってきたアンナ。
そんなとき、駅へ母を迎えに来ていたエリート青年将校のヴロンスキーは、同じ車掌に乗り合わせていたアンナの美貌に一目惚れする。
一方、地方であるカジランスキー郡に広大な土地を持つ地主のリョーヴィンは、アンナの兄嫁の妹であるキティに求婚するものの、ヴロンスキーとの結婚を夢見ていた彼女に断られてしまった。
求婚が失敗し、落ち込むリョーヴィンは領地に戻ると、農地の経営改善に熱心に取り組むようになる。
ところが、キティはヴロンスキーが自分と結婚するつもりがないことを悟り、それがきっかけで病を患ってしまった。
リョーヴィンとキチイは再開し、互いの気持ちを分かち合い、祝福された結婚生活を送ることとなる。
アンナはヴロンスキーの若々しい情熱に惹かれ、世間体を気にして黙認を貫くカレーニンの態度に苦しみながらも、激しい恋に落ちていく。
そして、アンナはついに虚偽と欺瞞に満ちた社交界を捨て、ひとり息子への愛に苛まれながらも、ヴロンスキーとの破滅的な愛に身を投じていく……
『アンナ・カレーニナ』作者について
レフ・ニコラエヴィチ・トルストイ(Лев Николаевич Толстой)
1828年9月9日-1910年11月20日
ロシア帝国ヤースナヤ・ポリャーナ出身
小説家、思想家
1828年、歴代の皇帝に仕えた裕福な貴族の家庭に生まれる。
1847年、相続したヤースナヤ・ポリャーナにて農地経営に携わるものの挫折。
1852年、執筆した『幼年時代』が雑誌「現代人」にて発表される。
翌年のクリミア戦争では将校として戦地に身を置き、非暴力主義の素地となっている。
ドストエフスキー、ツルゲーネフと並んで、19世紀のロシア文学を代表する文豪。
代表作…『戦争と平和』『人生論』『復活』
『アンナ・カレーニナ』まとめ
(イワン・クラムスコイ作『見知らぬ女』1883年)
ロシアの文豪レフ・トルストイ不滅の名作。
『戦争と平和』とならぶ代表的長編小説ですが、どんな印象をお持ちでしょうか?
「トルストイ? ああ、顎髭のおじいさんね」
「ストーリーが難しい、そもそも人物の名前が覚えられないよ」
「ある女性が不倫をする物語。なんと、けしからん!」
そんなとこでしょうか。
あらすじからは美女アンナと若くハンサムなヴロンスキーの不倫物語かな、と思いますよね。
いや、間違ってないんですけど、それだけじゃない。
タイトルにもある主人公アンナ・カレーニナ。
彼女の登場シーンは物語全体の約半分ほどです。
じゃあ、もう半分はなんなの。
っていうと、地主貴族のリョーヴィンのパートです。
貴族とはいうものの、当時のロシアでは下火となった農地経営に悩むシーンが多く描かれています。
そして、かなりの純愛で、恋仲のキチイが他の男性と喋っただけで、猛烈に嫉妬する有様。
アンナとリョーヴィンはほぼ互いに交わることなく物語は進みますが、この二人を主軸に物語は展開していきます。
きらびやかで華やかな社交界に出入りするアンナ。
田舎の領主として地道に農作業に取り組むリョーヴィン。
誠実で無垢な性格であるゆえ、不倫というかたちで愛を貫くアンナ。
嫉妬深いが、妻キティを一途に愛する純愛なリョーヴィン。
とても対照的な二人です。
この対照的な二人が、愛についてどう考え、悩むのか。
そして、どんな結末を迎えるのか。
見どころたっぷりですよ。
また、生きることについても考えさせられるシーンがあります。
リョーヴィンは幸せな家庭を築くものの、兄を亡くしたことがきっかけで生きることに対して苦しむ場面です。
死を恐れるというよりも、むしろ、生命がどこから生まれて、なんのために与えられ、なにゆえに存在し、またそもそもなんであるか、ということについて、少しも知識がないのに、相変わらず享受している生を恐れたのであった。
(『アンナ・カレーニナ』新潮文庫より)
このリョーヴィンは、トルストイ自身がモデルともいわれています。
トルストイは二人の幼い子どもを亡くし、自殺の誘惑に駆られたことがあります。
そういった自身の葛藤を、リョーヴィンの物語を通して表したのではないでしょうか。
紹介にあたり不倫と純愛について抜粋しましたが、本作品には多くの人物が登場し、社会的背景、宗教観も混在し、読み手によって捉え方が変わると思います。
もしご興味がありましたら、一度手に取ってみてはいかがでしょうか。
本日は、不倫と純愛で悩んだときに読む小説『アンナ・カレーニナ』をご紹介しました。
最後までお読みいただきありがとうございました。
それでは、素敵なよりみちライフを。